連休で、特に予定が無いと読書が捗ります。
落語の本ばかり読んでいたのですが、違うジャンルにも手を伸ばしてみようとのことで、気になっていた講談師の神田松之丞さんの本を読んでみました。
松之丞さんがインタビューに答える形で、子供時代から演芸に興味を持ち始めて、現在に至るまで、やってきたこと、考えてきたことを整理した本だと思います。
この本はブログで紹介するのは難しいですね。松之丞さんを知っている人はだいたい演芸ファンでしょうから、この本はチェックしていないはずがないし、しらないひとにとっては誰それ?という感じだと思います。
だから、この本を薦めることがあるとすれば、最近のブームで落語が好きになってきたけど、講談についてはよくわからない、どういう世界なんだろうと思っている人に対してでしょうか。そのような人は楽しめると思うし、講談を聞きに行ってみたくなると思います。
読んだ感想ですが、割と嫌な奴だし、友達にいたら仲良くならないなと思いました。
学生時代や前座時代の話も書いてありますが、愛想も目つきもよくないし、楽屋での態度も悪い。
自分の中では講談のあるべき姿がどんどん膨らんでいて、心の中で先輩や他人を見下していたりする、嫌な奴だった姿が吐露されています。
ただ、松之丞さんがすごいのは、自分に対する自信や自己評価に、ちゃんと自ら追いついていっていることです。
社会人生活を送っていてわかることですが、自己評価が高すぎる人というのはだいたい大した努力もしていませんし、実力もあんまり高くないですよね。さらに偉そうだと周りからの目も厳しくなりますから、実力がそこそこあったとしても評価されにくいのが現実です。
松之丞さんの場合は、自分のやるべきことは明確にわかっているからそれに関する努力はとてつもなくする。愛想はいつも良くないし、人格もイマイチそうだけど、それでも周りの演芸関係者からは尊敬されている。
周りに脇目を振らないで真っ直ぐに突っ走って結果を出すその姿は、僕は怖くて通ってこなかった道だけに、この人に対してある種の眩しさというか、羨ましさというか、正直に言えば嫉妬すらも少し感じてしまいます。
初心者に「講談で一番はじめに誰のどんな話を聞けばいいですか」ときかれて、「まず僕を聴いてください。」と最近は答えているというエピソードがあります。
「よいこの社会人のみんなは絶対に真似をしないでください」というテロップが入りそうな発言です。
仮に僕が自分の会社の就職説明会か何かで、「できる社員になるためにはどうすればいいでしょうか。」と質問されて、「まずは僕の仕事をみてください」と言えるかというと…
あー。鳥肌が立ってきた。
それにしてもチケットが取れない。CD買おうかな。