著者の橘さんをフォローしているせいもあるのですが、Twitterで取り上げている人が多かったので、気になり、仕事の帰りに本屋さんに立ち寄って購入しました。
RT戦略にハマったのかもしれませんが、やはり多くの人が褒めているものは興味があるので。
カテゴライズをしようとすると難しい本だと思います。
写真集もなんか違う気がするし、エッセイ集なのかもしれないし、おすすめの芸人を集めた解説本なのかもしれないし。
演芸写真家である橘蓮二さんによる、落語家をはじめとする演芸関係者の写真をあつめ、それぞれの写真郡に対応した文章を散りばめた、不思議な本です。
著者は写真家のため、当然のことながら、写真が多いです。
写真と文章を目で追うだけであれば30分もかからずに読了できますが、おそらくこの本を読んでいるほとんどの人はもっと時間をかけて読むと思います。
ほとんどの章は、文章→それに関連する写真 の順で構成されているのですが、
高座の写真を見ていると、文章に戻りたくなり、文章を読んでいると早く写真を見たくなるという危険なループが訪れます。このせいでなかなか、前に進みません。
前著の『この芸人に会いたい』も拝読していますが、前著はどちらかというと落語家さんに対する思いとか楽屋での体験を聞かせるものでした。
今作では、写真家として落語にどう向き合うかがより正面から書かれており、読者としても、自分の仕事や生き方を写真に映っている人たちと対比してどのように考えるか、噛み締めながら読むことができる一冊に仕上がっていると思います。
僕は落語も写真も大して詳しくないくせにおこがましいのですが、次回作に向けて、少しだけ注文をつけると、寄りの写真が全体的に多いので、もう少し引きの構図で、座布団の上で躍動するような写真があると嬉しかったです。
落語は会場と演者とお客さんでできあがると思っているので、なるべくその3つの雰囲気がわかるような写真だと芸人の個性もよく出るんじゃないかなと。
でも、お客さんの後頭部とかが映ると肖像権とかの関係で難しいんですかね?
Twitterとかで感想を言っている人のなかには、どの写真がよかったかをコメントしているひとも多いですね。
演芸関係の雑誌とか既に使われていて見たことあるものもあり、どれも素晴らしかったですが、
個人的に好きなのは最後の方にある林家つる子さんと春風亭一花さんの写真です。
おそらく舞台裏にいるときのもので、高座の写真ではなく、なにをしているところなのかはよくわかりませんが、写真だけで人柄と高座での雰囲気までがなぜかわかる、噛みごたえのある写真だと思います。