一般に公正妥当と認められたいBLOG

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【規則を読んでみる】日大アメフト部の学生は補助金の人身御供なのか?

 

日経の社説に、日大のアメフトに関して触れられていました。

その中で、今回の日大の不可解な対応と私学助成の関係について触れられている箇所があります。

内田前監督が大学経営の中枢である常務理事の要職にあることと無関係であるまい。日大は年80億円を超す私学助成を受けている。理事の不祥事や法令違反が確認された場合、補助金が不交付、または減額される。

 

つまり、日経的には、内田氏が非を認めて辞任すると、補助金がもらえなくなるので、組織ぐるみで守っているんじゃないかという考えのようです。

もしそうだとしたら、大学の補助金のために一人の将来ある若者が社会的に殺されようとしているところであり、本当にゆるせないことです。

 

怒る前に、日経の言っていることが本当なのか気になったので、条文をあたってみました。

補助金の減額等)
第五条 国は、学校法人又は学校法人の設置する大学若しくは高等専門学校が次の各号の一に該当する場合には、その状況に応じ、前条第一項の規定により当該学校法人に交付する補助金を減額して交付することができる。
一 法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分又は寄附行為に違反している場合
二 学則に定めた収容定員を超える数の学生を在学させている場合
三 在学している学生の数が学則に定めた収容定員に満たない場合
四 借入金の償還が適正に行われていない等財政状況が健全でない場合
五 その他教育条件又は管理運営が適正を欠く場合

うーんなるほど。 法律だとよくわかりませんね。

5号が当てはまる気もしますが、違う気もします。一般論では、管理運営はダメダメだと思うんですけどね。

 

一方で、補助金の交付を担当している日本私立学校振興・共済事業団が出している「私立大学等経常費補助金取扱要領・私立大学等経常費補助金配分基準」には、もっと詳しめの記述がありました。

ちょっと長いですが引用します。太字は私がつけました。

私 立 大 学 等 経 常 費 補 助 金 取 扱 要 領

4.補助金の減額等
[減額又は不交付の事由及び措置]
(1) 事業団は、学校法人等(私立大学等を設置する学校法人、私立大学等及び私立大学等に所属する学部等(大学の学部、短期大学及び高等専門学校の学科、分校、大学院の研究科並びに附属研究所、附属病院、同分院その他の附属機関をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)が次の各号の一に該当する場合には、原則として、その状況に応じ、当該学校法人等に係る私立大学等経常費補助金配分基準(以下「配分基準」という。)Ⅴの6別記7の2及びⅤの7別記8による増額を除く補助金(以下「一般補助」という。)の10%、25%、50%又は75%に相当する額を減額して交付するものとする。ただし、その状況が著しく、補助の目的を有効に達成することができないと認めるときは、補助金の全額を交付しないものとする。

  • ア 私立大学等経常費補助金、私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助金又は私立大学等研究設備等整備費補助金を他の用途へ使用し、その他補助事業に関して当該補助金の交付の決定の内容若しくはこれに付した条件その他法令若しくはこれに基づく所轄庁の処分に違反し又は偽りその他不正の手段により当該補助金の交付を受けたもの
  • イ 学校法人の財産を不正に使用したもの
  • ウ 財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書又は監事の監査報告書に記載すべき事項を記載しなかったもの又は虚偽の記載をしたもの
  • 私立学校法第 47 条に定める財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書又は監事の監査報告書の備付け及び閲覧義務に違反したもの
  • オ 事業団又は地方公共団体地方公共団体から補助金又は貸付金を受けて私立学校の助成を行う法人を含む。)からの借入金に係る契約条項に違反し、その返還を請求されたもの(請求に基づき、その全部又は一部を返還した場合を含む。)
  • カ 入学に関する寄付金又は学校債の収受等により入学者選抜の公正が害されたと認められるもの
  • キ 偽りその他不正の手段により設置認可を受けたもの
  • ク 学校経営に係る刑事事件により役員又は教職員が逮捕及び起訴されたもの
  • ケ 役員若しくは教職員の間又はこれらの者の間において訴訟その他の紛争があり、教育研究その他の学校運営が著しく阻害され、又はその機能の全部若しくは一部を休止しているもの
  • コ 理事会又は評議員会が長期間にわたり開催されず、教育研究その他の学校運営が著しく阻害され、又はその機能の全部若しくは一部を休止しているもの
  • サ 教職員の争議行為等又は学生による施設の占拠若しくは封鎖、授業放棄その他の正常でない行為により、教育研究その他の学校運営が著しく阻害され、又はその機能の全部若しくは一部を休止しているもの
  • シ アからサに掲げる事由のほか、私立学校振興助成法第5条第1号又は第5号に該当する場合で必要があると認められるもの

仮に内田氏がタックルを指示したことが明らかになり、逮捕なんてことになったら、には該当しそうです。

他の教授が大学の品位を傷つけたとかで訴訟でも起こした場合には、に当てはまるのかもしれません。

その他、でかなり幅広に判断の余地が残されているので、今回の一連のダメダメな対応が法律にある「管理が非適正」に当たると判断される可能性も大いにありそうな気がしてきます。

 

これらの条文をみると、内田氏が理事をやめようがどうしようが、補助金を減らされるリスクは大いにあるのかな、というのが私の憶測です。

タックルを指示したことを認めないで理事に居座りつづけたとしても、訴えられる可能性は大いにあるわけですからね。

そのため、日大としては、関係者の懲罰も含めて「適正な管理」とはどうあるべきなのかをよく考え、粛々と実行に移していくことが、結局は補助金も学生も守る近道になるんじゃないかなーと愚行した次第です。

 

タックルをしてしまった学生、された学生が、今後の人生になるべく不利がないように、普通の社会人になれることを願ってやみません。