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宮崎あおいに中島みゆき「Nobody is Right」を歌わせる意味は

数日前から、earth music&ecologyのCMで、
宮崎あおいさん他大勢の女性が合唱するバージョンが放映されています。

聞き覚えあるメロディーラインだと思っていたら、
使用されていた曲は、中島みゆきさんの「Nobody is Right」でした。
クレジット表記も全くされていなかったので、知らない人はこの曲を聴いても何の曲かは確実にわからないでしょう。



2007年発売のアルバム「I Love You, 答えてくれ」に収録されている一曲で、ツアーで一度歌われている以外は、特に他のアルバムにも顔をだしていない、マニアックと言えばマニアックな曲です。


この「I Love You, 答えてくれ」というアルバムは、中島みゆきが、自身にしてはかなりめずらしく、考えていることやメッセージを前面に押し出していて、ゴリゴリのロックで編曲されている曲が中心になっているという特徴があります。
その中でも、「Nobody is Right」はメッセージ性がことさら高くて、発表当時からファンの間で歌詞の深読み合戦のようなものが行われていた記憶があります。

15秒バージョンで切り取られていたのは次の部分です。

争う人は正しさを説く 正しさゆえの争いを説く
その正しさは気分がいいか
正しさの勝利が気分いいんじゃないのか


このCMでは、歌を歌いながら、宮崎あおいは涙を流しています。

CMが放映された時期、使われた歌詞の内容から見ても、
このCMが先日成立した安保関連法をかなり色濃く意識したものであるといえると思います。
それも、きわめて反対に近い立場からです。
そうでなければ、企業がわざわざ莫大な費用をテレビ曲に支払って、自社のイメージアップにもつながりにくいシリアスな楽曲をただ歌うだけのCMを流す理由が見つかりません。
具体的な商品やブランドの紹介はせず、肝心のearth music&ecologyの名前は最後にちらっと出るだけだし。(このブランドのほかのCMもそうなのですが)

ただし、「Nobody is Right」の歌詞を全部読んでみればわかるのですが、
この歌は、単なる反戦歌というよりは、
個人個人が自分なりの正しさを他人に強要して、時にはそれがもとで大なり小なりの争いになっていくことをじっと見つめている、もっと普遍的なメッセージを持った歌だと個人的には思っています。

なので、個人的にはですが、安保法反対の反戦歌として使っているのであれば、
このやり方は曲をお手軽に解釈しすぎだと思います。少なくとも、作者の意に沿ったものではあまりないんじゃないですかね。
逆に、何か別の理由があって、この曲を歌わせているのであれば、その内幕をもっと知りたいです。
(広告料以上のベネフィットがあると踏んでいるのでしょうから)

おまけ:
この曲がライブ歌われたのは、2010年のコンサートですが、
私が聴いていた回では、中島みゆきは「正しさゆえの争いを説く」を「戦争を説く」と歌っていました。
これが歌詞間違いなのか、何らかの意図があったのかは、本人のみぞ知るところです。

9/22追記:
この曲ですが、一音に言葉を何語も詰め込んでいるので、
そもそも合唱に向いていないように思います。
よほどきれいに合唱しないと、何を言っているのかわからない。
冷静になってCMを聴いてみると、中心になって歌っている宮崎あおいの滑舌が
あまりよくないこともあってか、いくつか聞き取りにくい箇所があります。
CMとしては、企画が先行していてそのまま勢いでやっちゃったのかなという印象を持ちました。

10/1追記:
CMの制作側の見解が出たので、追加記事を書きました。

宮崎あおいのearth music & ecologyのCMについて その2

http://tmtthinks.blogspot.jp/2015/10/earth-musicecologycm.html